「The choice」 エリヤフ・ゴールドラット著
![]() | ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな! (2008/11/08) エリヤフ・ゴールドラット 商品詳細を見る |
久しぶりにこの人の本が出ました。
TOC(制約条件の理論)の考案者として「ゴール」シリーズで大ヒットとなった小説の続編です。
私は色々な人の著した上記理論に関する書物を読みあさりましたが、最終的にこの理論は
「物事は非常にシンプルである」
ということ、そしてまた
「人間は過去の経験に必ずとらわれている」
という、何ともあっけない結論に達するのではないかと感じていました。
「チョイス」では、親子の会話という形をとり、上記2展について執拗にそして入念に解説が続きます。
ゴールシリーズを読んだ人の感想は大きく2つ。
「その通りだ」と思いつつも特に経営や自己啓蒙には関係ないと忘れる人。
「その通りだ」と思い、思考をこらし活用する人。
思考をこらした人しか、実際にこの本に書かれた意図は読み取れないかも知れません。
「チェンジ・ザ・ルール」で訴えた内容を、人間というテーマに絞って進めている重複性も感じますが、やはりそれだけ重要な部分であり、
「人はアンバランスかつ不条理なモノ」という、どこか宗教観を漂わせる空気が感じられます。
まったくアプローチアングルの異なる「人を動かす」とも言える書籍。
非常におすすめですが、先に以前のシリーズは読んだ方が良いかもしれません。
ジャストインタイム 著 者:フレディ・バレ、マイケル・バレ 他
![]() | ザ・ジャストインタイム 現地現物が最高の利益を生む (2007/11/16) フレディ・バレ、マイケル・バレ 他 商品詳細を見る |
今回は久しぶりに本の紹介を。
タイトルを見ると「もう聞き飽きたよ」という声が聞こえてきそうですが、この本は面白い。私の大好きな小説仕立ての技法解説なのですが、多くの人が実は疑念を持っているジャストインタイムについて、解りやすく表現されています。
物語の中で、しつこいくらいに繰り返される経営者と現場作業者の葛藤。そして物語が進むにつれて、実は利益獲得活動を阻害しているのは現場ではなく管理者だという事実。改善を進める上で最も困難な事は「人間改革」だという真実。又、優秀な人間は企業を渡り歩いていくことから、一人のスーパーマンではなく「しくみ」を作り上げることが重要だという認識。
何故生産現場に在庫が停滞するのか。
生産能力を増強するために行程を増やすのではなく細分化を繰り返して人員を増やすという発想。
段取り変えを拒むのは「面倒くさい」という理由以外にないという発想。
作家がフランス人と言うこともあり、純粋にトヨタ流という改善活動を(かんばんの利用などはバリバリにトヨタ方式ですが、非常に簡略化した解りやすい方法しか出て来ませんが、通常の企業であれば十分事が足ります)紹介している訳ではありませんが、本来のジャストインタイムとはまさにこの小説に表されている内容ではないかと思います。
又小説全般を通して感じることは、企業はつくづく人であり、優秀な人材がいるタイミングというのも見極める能力が必要だと言うことです。
以前私のバイブルであるTOC理論について触れましたが、私自身生産現場や販売現場を指揮する度に、「ジャストインタイム」の重要性を痛感し、理解が深まっていく感想を持ちます。これはTOC理論と寸分狂わず合致する物で、出発点が理論であるのか、たたき上げで有るのかの違いだと感じます。
「もう耳たこだよ」と思う方でも、是非手にとって欲しい一冊です。
必ず新しい発見があると思います。
ワーキングプア
![]() | ワーキングプア―日本を蝕む病 NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班 (2007/06) ポプラ社 この商品の詳細を見る |
一ブレイクで、本の話を。
先週末出張に出かけたときに移動中に読みました。
個人的にはNHK取材班の相変わらずの誇張ぶりに閉口はしましたが、日本の現実的な局所を描いているドキュメンタリーです。
ワーキングプアとは、働いても働いても豊かになれない層を指す造語で、極限状態に置かれた人々を指しています。
広がる都市と地方の格差。収入の格差。
世界中で資本主義が抱える現実に警鐘を鳴らす一冊です。
貧富の差を生まない社会というのは存在するのか。支配する側と支配される側という図式は、文明開化の時代から続く一種の必要悪では無いのか。
平等を唱えて始まった社会主義、共産主義が50年以上の時間をかけて失敗した背景には、そういった文明の宿命が見えます。
個人的には言いっぱなしの感が否めない書籍のため、褒めはしませんが、日本の現実をしる良いドキュメンタリーだと思います。
ザ・キャッシュマシーン リチャード・クラフォルツ、アレックス・クラークマン 他 著
![]() | ザ・キャッシュマシーン リチャード・クラフォルツ、アレックス・クラークマン 他 (2005/12/02) ダイヤモンド社 この商品の詳細を見る |
以前、「ザ・ゴール」をこのコラムでご紹介しましたが、このシリーズの続編(著者は違いますが)となる本です。
制約条件の理論は、概念がぼやっとしていて理解しづらいのか、日本では相変わらず主流になりませんが、やはり私は一番しっくり来る経営概念だと感じます。
このシリーズは、計5冊になりました。1、2作目は工場改善、3冊目はルールを変える、4冊目はプロジェクトマネジメント、そしてこの5冊目はTOC(制約条件の理論)を営業活動に適用したストーリーを取り上げています。これまでと違い、ゴールドラット博士自身が著したモノではないためか、小説としてはイマイチ迫力に欠けますが、企業を人間の集合と捉え、お客様サービスのボトルネック(制約条件)をどのように有効活動するかという基本理念を描いています。
これは個人の思い込みかも知れませんし、私がそれほど多くの知識に触れている訳でもありませんが、知る限りでTOC以上の合理的な経営理念はありません。
とにかく無駄がない。お金を儲けるために徹底的にこだわるその姿勢は潔い。
営業はとかく自分の活動をアートだと思いこむ節が有り、それはそれで重要なのですが、企業の方針や狙いを外した活動は時にマイナスに働いていく。売上だけが評価尺度として長年用いられてきた会社において、どう営業活動を変えていくか。
この一冊を読んだだけでは、理解が難しいかも知れませんが、ほとんどの会社が抱えるそういった問題に違ったアプローチを迫る一冊です。
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス著
![]() | アルジャーノンに花束を ダニエル キイス、小尾 芙佐 他 (1989/04) 早川書房 この商品の詳細を見る |
映画にもなり、唄にもなり。
本当に有名な小説です。そして、あまりに悲しいストーリーに、人は涙してきたのでしょう。
知的障害を持つ青年が、薬物治療により劇的に知識レベル、知能レベルが向上し、自分を馬鹿にし続けた人々を見下す様になる。同じ実験を受け驚異的に知的レベルの向上したネズミの「アルジャーノン」と逃避行を続ける中、主人公は己の運命と行く末を呪い、自虐的になっていく。
本の最後の一行に出てくるタイトルは、明言です。どんな思いで花を手向けるようにと書き記したのか。
映画では恋愛モノにストーリーが書き換えられたり、商業的にねじ曲がった表現になっていますが、原作は人間の存在価値を問い、人として生きるということはどういう事なのか、人にとっての価値観がいかに曖昧で、本当に価値が有ることなのかを問いかける、至極の名作です。
最初に呼んだのは今からもう10年以上前になりますが、何年か経つたびに読み返しては考えさせられています。
作者の知性と問いかけが見事に調和した、究極の人間論。
是非おすすめしたい一冊です。



















